僕が良く言う『人間の自由意志』とはそもそも何か?について、お伝えいたします。
自由意志というと、自由に物事を決定する意思と理解する人は多いと思います。
実際の所、僕もこれに近い理解をしています。
しかし、肝心な ” 自由に物事を決定する ” の部分が、思っていたよりも自由ではないことが多いのです。
今回は、人間の自由意志をとりまく事情と、自由意志による恩恵についてお伝えいたします。
多くの場合、人間は自由に判断をしていない
僕なりに自由意志を定義すると「自身では無いものに影響されない自分の意志」ということになります。
それで、意外と、人間は外部からの影響により動かされている部分が多いのです。
例えば、誰かの悪い噂を聴けば、その誰かを悪い人間と思ったりします。
これは、噂により自身の心が動かされたことによる判断です。
他には、本の内容を頭から信じている場合、これも、本により頭や心が動かされた結果だと思います。
多くの場合、人間は普段から、自分の意識により自由に判断できている、と信じている傾向がありますが、それは、実質、風の向くままに進む船のようなものだったりします。
船の例えと同じように、このままでは、自身が望むような人生が得られないばかりか、誰かにコントロールされる人生になってもおかしくありません。
外部からの影響に気付き、その影響の良し悪しを分析し、自身の行動を改めるところに自由意志があります。
外部からの影響の良し悪しを分析し、行動を改めていく
誰かの噂を聴いた場合、その噂を頭から信じて、自身もその相手の陰口を言ってしまえば、それは人を不当に罰した(冤罪をかけた)のと同じことです。
そのため、カルマの法則により、自身は《根拠の無いことに振り回され、人を責める》といった性質を負ってしまい、その性質による困難を乗り越える必要が出てくるでしょう。
その一方、その噂を冷静に判断し、「自身にはその相手の事を判断できる材料など無い」と、否定も肯定もしないようにしていたらどうでしょうか。
この場合、カルマの法則により、『根拠のある事に目を向けられる性質』が与えられ、その性質による恩恵をこの先に受けることになるでしょう。
その人は根拠のある事に目を向けられるので、人生や自身を改善していくことができます。
それで、これらの例えのように、外部からの影響に気付き、分析する方が良い結果になることの方が多いのです。
すなわち、自由意志による力が育った方が人生が良くなる、と言えます。
しかし、そもそも人間は、外部からの影響を冷静に分析し、自身の行動を改めることで成長していると思います。
人間の成長のプロセスは自由意志を育てること
子供の頃、人間は、親の言うことを聴いて物事を判断します。
親の言うことに反発するも、言うことを聴くも、それらは外部(親)からの影響を分析し、自身の行動を改めることの連続です。
その過程では、「親の言うことには当てにならない部分がある」「この場合、正しい部分もある」と、細かいことまで学ぶことの連続でしょう。
その長い道のりの中で、親の言うことを冷静に分析する力が育っていきます。
実は、このプロセス自体が自由意志を育てるプロセスです。
一般的には、知識が沢山あれば賢いように見えるし、それで、社会から認められることはあるのですが、人間として成長しているかどうかは別の話になるでしょう。
人間として成長するほど、あらゆる状況に通用する知恵や愛・勇気といったものを備えていきます。
それはまさに自由であり、あらゆる権力などに心を依存せずとも、道を切り開くことができると思います。
それで、とても重要なのは、外部からの影響にどのように気付いたら良いのか?という部分です。
不安という感情に外部からの影響がある
外部からの影響は自身の感情に現れる傾向があります。
例えば、誰かから悪口を言われれば悲しい、褒められれば嬉しい、といった具合に、外部からの影響は感情に現れやすいのです。
特に、不安という感情には外部からの影響が多くあります。
サバンナにいるシマウマの群れを思い浮かべると分かりやすいでしょう。
ライオンなどの接近に気が付いて、一匹のシマウマが逃げ出せば、その行動を観た他のシマウマも逃げ出します。
これは肉体的本能による大切な危機回避能力だと思います。
同様に、人間にもこのような本能が備わっています。
他の人の行動を観て、《自身には観えざる危機》を回避しようとします。
しかし、サバンナではこれらの本能は高い確率でうまく機能するのですが、複雑化している人間の社会ではうまく機能しません。
むしろ、不安を感じて誰かの真似をして行動することで、自身の個性を失っていき、人生を変える力(自由意志)までも損なうことに繋がっているでしょう。
というのも、不安を感じて動くということ自体が、外部からの影響にそのまま流されることを示しているからです。
そこで大切なのは、不安と逆行する行動です。
不安と逆行する行動により自由意志が高まる
不安な気持ちを感じたら、あえて、ゆとりのある行動を取ったりします。
すると、その気持ちの背景にある外部からの影響を分析しやすくなるでしょう。
具体例をあげるなら、自身の容姿に不安があり、メイクや身だしなみなどに過敏すぎるのであれば、それを少なくしていきます。すると、意外と、人は自分の容姿をそこまで観ておらず、どちらかというと、《自身の容姿を気にした縮こまった態度》の方を気にしていたことなどが分かったりします。
実際の所、不安の背景にある外部からの影響を知るためには、何度も繰り返し不安と逆行する行動をとる方が良いでしょう。
ゆっくりですが、確実に、人生を変える力(自由意志)を育てることができます。
ゆっくりと言っても、1年やり続ければ実践前の自分を下に見下ろすほどの高い境地に立てますし、10年やり続ければ、多くの人が置かれている状況などが冷静に分析できるほどの境地に立てるものと考えています。